SEVEN MAGIG GIRLS

Chapter1 帝国ダークマジック

12:幻術使い

「あけちゃいましてご愁傷サマー」
「いいかげん飽きたんでしょう?姉さん」
ソファに座ってぶつぶつ言っている赤美に、思わず紀美子がツッコミを入れた。

新年正月16日。
新学期が始まって約1週間が経っている。
未だにこんなことを言っているのは、おそらくこの姉だけだろう。
そう考え、紀美子は大きなため息をついた。
もう30分近く、赤美は新年の挨拶を使ったくだらない言葉を考えていた。
大体、既に小正月も過ぎている。
新年の挨拶をする時期ではない。
もはやツッコミを入れる気力も失せたらしい。
美青、沙織、鈴美の3人は、赤美の向かいのソファで何やら話をしていた。
「それにしても、実沙先輩遅いですね」
時計を見て鈴美が呟いた。
「本当。そろそろ職員会議も終わるってのに」
それを聞いて同じく時計を見た沙織が息を吐きながら言った。
集合朝7時。
普段理事部の面々は百合の決めたその時間に登校している。
この時期は入試の関係で学園中が特に忙しくなる。
理事長の補佐としてその手伝いをするために、そんな時間から集まっているのだ。
尤も一番遠い寮――自転車通学を許可されている第10学生寮に住んでいる実沙は、時間どおりに来れることは少ないが。
寮が遠いということがわかっていて、百合はしかたなく実沙の遅刻を黙認している。
だからと言って、わざと遅れる実沙ではない。
いつもは遅くとも職員会議が始まる15分前――7時15分には登校しているというのに。
誰ともなく会話をやめて、つらつらとそんなことを考えていると、突然ばたんと扉が開いた。
思わず全員の視線がそこに集中する。
「あ、お帰りなさい。百合先輩」
少し驚いたような顔をして紀美子が笑いかけた。
先ほどまで百合は中等部の職員会議に呼ばれ、理事長室を空けていた。
その百合が戻ってきたということは、職員会議は終わってしまったということだ。
それなのに、まだ実沙は来ていない。
何も言わずに百合は理事長席まで進んだ。
手に持った資料をばんっと机に置いて、こちらを振り返る。
何事かと思い、赤美が視線を動かしたときだった。
「実沙が車にはねられたそうよ」
きっぱりと、百合がそう言ったのは。
「……馬鹿?」
最初に呆れた顔でそう言ったのは赤美。
「ど、どんな風にですか!?」
「真正面から衝突」
あっさりと言われた言葉に、鈴美が真っ青になる。
「正面衝突って……」
「大丈夫なの?実沙?」
「全身打撲で全治1週間だそうよ」
やはりきっぱりと言われた言葉に、全員の気が一気に抜けた。
「もしかして実沙先輩、プロテクト唱えて?」
紀美子の問いに黙ったまま百合が頷く。
プロテクトとは、自らの防御力を上げる補助属性の呪文のことだ。
「んなことだろうとは思ったけど」
やっぱり呆れたように呟いて、赤美は大きなため息をつきながらソファに座り直した。
「実沙って抜けてるんだか抜け目がないんだか、いまいちわかんないわ」
「両方なんじゃない?」
呆れたように言う沙織に、美青があっさりと言った。
「赤美より成績がいいのは確かだけどね」
「んな……!?」
思いも寄らなかった言葉に、赤美はソファから転がり落ちそうになった。
「あたしよりって何よ!大体、期末の差はたった1点なんだよ!」
「1点でも差は差でしょ」
あっさりと言い捨てられ、赤美は思わず口籠る。
それ以上何も言い返せなくなって、再びソファに座り込んだ。



その日から数日。
ちょうど6日経った日の朝のことだった。
実沙がいないということを抜けば、彼女たちはいつも通りに過ごしていた。
朝7時に集合して仕事をする。
入試前で忙しいこの時期。そうでもしなければ百合の仕事が片付かないのだ。
そうやって文句を言いつつも、それぞれが与えられた雑務をこなしている時だった。
とんとんと理事長室の扉がノックされたのは。
「はーい」
扉に一番近い位置にいた赤美が資料を手放して立ち上がる。
軽くノブを回して少し扉を開けたところで、彼女は表情をそのままに固まった。
「よう」
途端にばたんっと大きな音を立てて扉が閉まる。
その音に、仕事に収集していた5人が一斉に顔を上げた。
「赤美……?」
「何でもない何でもない。ただのピンポンダッシュ」
「誰がこんなところでピンポンダッシュするんだよっ!!」
扉の外から聞こえた声に、紀美子と美青、沙織が表情を変えた。
そのまま3人揃って大きなため息をつく。
「開けてやりなさい、赤美」
呆れ顔で百合が言った。
おそらくこの時点で赤美が何をしたかわかっていないのは鈴美だけであろう。
「やだ」
「やだじゃないでしょ」
「嫌なもんは嫌」
きっぱりと赤美は言った。
それもそのはず、扉の前にいるのは新藤悠司。
赤美が最も会いたくないと思う相手だ。
そんな年でもないだろうに、駄々を捏ねる彼女を見て、美青が再びため息をついた。
「赤美。いい加減にしないと……」
細めた目で赤美を睨む。
「これ、大量に服の中に入れるよ」
ぽんっと何かが投げ渡された。
思わず手に取ってしまったそれを見て、赤美の顔は一気に青くなった。
手の中にあったのは、生きている小さな蜘蛛。

「う、うあああああああああああああああっ!!!!!?」

突然室内に響いた声に、思わず全員が耳を塞いだ。
「やだーっ!!水道何処!火ィどこっ!取って取って取ってーっ!!!」
蜘蛛を手の上から払うことも出来ないまま、パニックを起こした赤美が叫びながら走り回る。
その光景を、鈴美は呆然と眺めていた。

あの噂の金剛赤美が、蜘蛛程度で怯えている……!?

理事部に入って約3か月。
赤美の起こす行動やその度に周りが取る行動。
その全てを見てきたつもりだったが、まさかこんなところで彼女の意外な一面が見れるとは思わなかったのだ。
ガツンっと音が耳に入って、鈴美は我に返った。
音のした方を見ると、そこには椅子を振り下ろしたポーズで静止している沙織がいた。
その下に、頭にこぶを生やした赤美がうつ伏せに倒れている。
「……ったく。他のどんなもんだって平気なくせに、これだけは駄目なんだから」
振り下ろした椅子を下の場所に戻して、呆れたように沙織が言った。
「絶対スパイダー系の魔物も苦手よね、こいつ。遭遇したらその場で焼き殺してそう」
「回り巻き込んで?」
「そうそう。まったく、いい迷惑よ」
言いながら、美青が何度目かのため息をつく。
赤美が何かを起こすたびに、面倒が真っ先に回ってくるのは彼女なのだ。
今回の原因は自分だとはいえ、これではため息のひとつやふたつ、吐きたくなるだろう。
「それはそうと。紀美ちゃん、そろそろ扉開けて」
「はーい」
姉の心配を少しもしないで避難させていた資料をテーブルに置くと、紀美子はすたすたと扉の前に歩いていく。
「お待たせしました、新藤先輩。どうぞ」
にこっと笑って扉を開けた。
「あ、ああ。サンキュー紀美ちゃん」
少し照れた様子で新藤が礼を言った。
あの文化祭の出店前での騒ぎ以来、新藤は紀美子に昔と同じように接するようになっていた。
幼馴染みだとわかって、他の男子生徒のように恋愛対象として見ることができなくなったのである。
小学校低学年の頃の新藤にとって、紀美子は妹のような存在だったのだから。
それ以前に、赤美からの被害をこれ以上増やしたくないという理由があるからだろうが。
「あんたがここに来るなんて珍しいわね。何の用?」
どうでもいい。
そんな言葉が聞こえてきそうな口調で百合が尋ねる。
「あ、ああ。実はさ。ついさっきのことなんだけど」
言っていいのか迷ったようで、視線を彷徨わせてから新藤は言葉を続けた。
「緑川が来た」
その言葉に驚き、全員が、気絶していたはずの赤美までもが起き上がって新藤を見る。
「実沙が?」
静かに聞き返した百合に新藤は頷いた。
「まさか。あの子の退院、今日の夕方のはずよ」
「治りがよくって1日早く退院できたって本人は言ってるぜ」
あっさりと新藤が言い返した。
普通なら、車と正面衝突した事故で、たった1週間で退院するなど信じられないことであろう。
だが、彼女たちはクラスメイトには車と軽く接触しただけと話してあった。
何より赤美の幼馴染みをやっていられる新藤だ。
ちょっとやそっとのことでは驚かないほど肝が据わっていた。
それくらい度胸がないと、男が赤美の幼馴染みをやっているなど不可能だということらしい。
しばらく百合は考え込んだ。
周りにいる他のメンバーも、何も言わずに黙り込んでいる。
「何だよ?うれしくねぇの?」
仲のいい友人の退院を素直に喜ばない彼女たちに疑問を感じたらしい。
不思議そうに新藤が尋ねる。
「うれしくないわけないけど……」
言いかけて、沙織は口を閉じた。
「けど?」
「いくら実沙でも1日早く治るのかな?と思って」
聞き返す新藤にさらっと美青がそう答えた。
「って言うと?」
「無理言って退院してきたんじゃないかってこと」
なるほどなどと呟いて、新藤は納得した。
本当は、今自分たちが考えていることは今美青が告げたものとは全く違う。
確かに、いくら実沙でも1日早く治るなんてことがあるのだろうかとは考えた。
怪我は全身打撲。ただそれだけ。
普段、戦闘で負う怪我に比べたらかなり軽い。
実沙ならば、そして紀美子ならば、回復呪文で傷を治してしまうという方法もあるにはあるけれど、人気のある病院で実沙がそれを使うかどうかは疑問だった。
むしろ使わないだろうという確信に近いものを彼女たちは持っていた。
「まあ、どうせもうすぐ戻るし。そのとき確かめるわ」
赤美の言葉に、新藤が微妙に表情を変える。
「何だよ?俺が言ったんじゃ信用できねぇってわけ?」
「当たり前でしょう」
「なっ!お前なぁっ!!」
赤美の一言で、一瞬にして頭に血が上った新藤が、彼女に殴りかかろうと拳を振り上げる。
「待った!」
振り下ろされようとしていた新藤の腕を美青が掴んだ。
そのまま拳は赤美に当たらずに止まる。
まずいという表情を浮かべ、ぱっと新藤はその腕を引っ込めた。
「いちいち怒るんじゃないよ。赤美に適わないのわかってんだから」
呆れたようにため息をついて美青が言った。
「んなこと言っても、こいつが……」
「赤美も。こいつにはわかんないんだから、いちいちトゲのある言い方しないの」
「はいはい。わかりましたよー」
頭の後ろで手を組んでこちらに背を向けると、赤美は面倒臭そうに言った。
新藤はその意味をきちんと理解していなかったようだけれど、他の友人たちはその一言で彼女の言葉の真意を悟る。
「とにかくありがとうございました」
苦笑しながら紀美子が礼を告げ、行儀よくお辞儀をする。
「あ、ああ。んじゃ、俺は先戻っとくから」
そんな彼女に面食らいながらも、彼は不機嫌そうに言うとさっさと部屋から出て行った。

「……で、どう思う?」
手を下ろして振り返った赤美の口調は、先ほどとは打って変わった真剣なものになっていた。
「どうって?」
「実沙の退院状況について、でしょ?」
こちらに背を向けたまま美青が確認するように聞き返す。
その問いに答えるように赤美は静かに頷いた。
「確かに、打撲とはいえ1日早い退院なんて、おかしいです」
紀美子がきっぱりと意見を述べる。
「大体、呪文が使えることを除けば、あたしたちだってアース人と全然変わんないでしょ?入院期間は確かに1週間でも、治るかどうかはわかんないし」
再び口を開いた赤美の口調はいつものように軽かったが、声は真剣そのものだった。
「さっき新藤に言ったのはお礼じゃなくってそう言う意味?」
「他にどんな意味がある?」
確信を持って問いかけた沙織に向け、赤美はにやりと笑って見せる。
「それもそうだねぇ、あんたじゃ」
「でも、確かに何か引っかかるのよね」
今まで黙って話を聞いていた百合が口を開いた。
「あんな性格だってわかってから勘違いされやすいけど、あの子、予定とかはしっかり守る子なのに」
「意外だったのがテスト前だよね。3週間も前から計画立ててるなんて思わなかった」
「ええっ!?マジでっ!?」
思いも寄らなかった言葉に赤美が驚いて思わず叫ぶ。
「……知らなかったんですか?赤美先輩」
「ここでやってたのに」
「う……」
学年が違う2人にまで言われ、ほんの少しショックを受けた。
「とにかく、そんな子がそう簡単に予定を繰り上げたりするかしら?」
「第一、病院でしょ?そう簡単に許しなんかでないんじゃないの?」
「わからない。わからないけど、どうしても何か引っかかるのよね」
沙織の問いに、百合が考え込むようして答える。
「まあ、関係あるとしたらただひとつでしょ」
赤美の言葉に、全員が彼女に視線を向けた。
もし今の実沙に不審な点があるとしたら、関係するのはたったひとつだけ。
「ダークマジック」
美青の答えに、赤美は頷いた。
「ここのところ妙に大人しかったからね。こっちはエスクールでだって暴れたっていうのに」
「あれは姉さんが勝手に、っていう気が」
「あんたたちは魔法ぶっ放したでしょうが」
ため息をつきながら言った紀美子に、赤美がきっぱりと言葉を返す。
確かに紀美子と美青は街中で、それも帝国兵の目の前で強力な呪文を使った。
しかし、それは赤美がやれと言ったからであって、彼女たちの意思だけでやったことではない。
「ああ、もう!あの時のことまで引っ張り出さなくていい!」
反論するのが面倒になったのか、美青がばんっとテーブルを叩いて叫ぶように言う。
「新藤先輩によると、実沙先輩は確かに来てるんですよね?」
「みたいだけど?」
唐突な鈴美の質問に、それが何とでも言いたそうな口調で百合が答える。
「もし、来ているのが本当に先輩本人なら、あの人は絶対にここに顔を出すはずですよね?なのに来ないということは、先輩が偽者である可能性が高い、ということになると思います」
「……だから?」
僅かに目を細めて、もう一度聞き返す。
その声に視線を動かすと、鈴美は真っ直ぐに百合の瞳を見て、続けた。
「もし本当にそうだとしても、どうして実沙先輩の姿になれるんですか?」
「どうしてって……」
「あ……」
突然発せられたその声を耳にした全員が、その声の主の方へ視線を向ける。
全員の注目を集めることになってしまったそこには、顔色を変えた紀美子が立っていた。
「そうよ。本人じゃなきゃ、そうじゃなければ本人が作ったダミードールじゃなきゃ、実沙先輩が来れるはずなんてない!」
ダミードールとは、インシングに古くからある一種の魔法道具だ。
人形師と呼ばれる職種に就いた者たちが作り出した身代わり人形的な道具で、これに魔力を吹き込むと、術者とそっくり同じ姿を取らせることができる。
普通は自分とそっくりなだけの人形に過ぎないのだが、魔力の高い術者ならば、魔力による遠隔操作によって自分そっくりの動きをさせることができるのだ。
「ちょっと待って!それって、どういうこと!?」
テーブルに乗り出して、赤美は向かい側にいる妹を見た。
「たまに魔法書で見かける変身呪文。それがあれば確かに人になりすますことはできるだろうけど……」
「けど?」
「あれは、変身呪文は……」
言葉を切って、紀美子は僅かに顔を俯けた。

「大昔に失われた古代呪文のひとつなのよ」

室内が静まり返る。
変身呪文が失われた古代呪文ということは、今では使えるものはいないということだ。
「実沙先輩はダミードールを持ってないし、持ってたとしても、帝国にそれを渡すなんてありえない」
「だから、今ここに来ているのは本人以外ありえない?」
百合の問いに、紀美子は視線を逸らし、答えようとはしなかった。
彼女が告げたとおり、現在のインシングには自分の姿を変える呪文など残っていない。
そんなものが残っているならば、ダークマジックはもっと簡単にエスクールを落としていたはずだ。
だが実際に、ダークマジック軍はエスクール城下を守備する自由兵団に苦戦し、城を攻め落とすまでにかなりの時間をかけた。
先代がずっと昔に敗北していたのにも関わらず、17年という年月をかけたのだ。
「ありえない、ね」
突然沙織が周りにはほとんど聞こえないほど小さな声で呟いた。
「ありえないと考える方が、ありえないのかもしれない」
「はい?」
「百合、鈴ちゃん」
顔を上げて沙織が2人の顔を見る。
呼ばれた2人は不思議そうに沙織を見た。
「エスクールに行ったとき、あたしがサルバでギルドに寄ったのは覚えてるよね」
「ええ」
「一応……」
「ギルド?」
「ハンターズギルド。簡単に言えば、仕事請負場みたいなやつ」
美青に問いに、簡単に沙織は説明した。
「せっかくエスクールに来たんだしと思って、正式に登録に行ったのよ」
「あんた、あの非常時に~」
ぎろっと赤美が睨みつける。
自分たちは敵から馬を奪ってまでエスクール大陸を駆け抜けたというのに、別のチームはそんなことをしていたのかと思うと腹が立った。
「最後まで聞いて。まあ、試験はあるけど簡単なの。向こうが用意した試験用の魔物を倒せってだけ」
「結果は?」
「1分かかんなかった。弱すぎる」
きっぱりと答えると、赤美から視線を外して続ける。
「それで、見事A級の称号貰ってきたわけだけど、そのときに妙な話を聞いたのよ」
「妙な話?」
赤美の問いかけに頷いて、続ける。

「ダークマジックに幻術使いがいる」

再び、今度は一瞬だが、室内が静まり返った。
誰かが小さく息を呑む音が聞こえたような気がする。
「幻術って、実沙が1回だけ使った、あれ?」
「そう、あれ」
赤美が信じられないという風に瞳を揺らして尋ねると、沙織は静かに頷く。
「でも、あれって和国の……」

「察した通り。ダークマジックの四天王の1人が和国出身者だそうよ」

鈴美の言葉を遮って、きっぱりと彼女は言った。
「さらに言うなら、幻術を使って自らを幻で包めば……」
「その幻で、自分の姿を誤魔化せる……?」
「可能性は否定できないわね」
鈴美の発言以来黙り込んでいた百合が、顔に厳しい表情を浮かべて口を開く。
「警戒が必要ということですね」
過去2回の失敗からか、誰よりも真剣な表情で紀美子が言った。
「どっちにしても、まだ本人に会ってないわけだし。本当のところはわかんないから」
「とりあえず見張りといきますか」
百合の言葉を引き取って、赤美が軽い口調で言う。
「ええ。まずはそうしましょう」
百合の言葉に全員が同意の意思を見せて頷く。
ちょうどその時、登校時間の終了が近くなっていることを告げる予鈴が校舎内に鳴り響いた。

remake 2002.11.23